美容歯科 税理士 求人 17.泣いて泣いて泣いて

記事一覧

17.泣いて泣いて泣いて

【本編中/ザウデ不落宮/エステル寄り/掌編】


 巨大な魔核が落ち、その衝撃で砕けた床から砂煙が上がる。
 その最中、はぐれてしまった長身の青年を探し、皆が薄目で周囲に視線をはしらせた。
「っ、ユーリ……、どこです……?」
 エステルの声に応えるかのように、遠く言葉として届かない彼の青年の声が彼女の耳に届く。
 そして、彼女は見た。
 少女につられるようにして視線を向けた者も。
 何かの気紛れであるかのように僅かに途切れた煙幕。その向こう側で今、正に起こりつつあったその光景。
 遮るものが何も無い、ザウデ不落宮のその淵から投げ出されるその姿。あまりの衝撃に瞬きすら出来ず、ゆっくりとゆっくりと、瞳に焼きつくように鮮烈に、鮮烈に。
 そして、消える。
「――――……!」
 あまりの衝撃に声すら出ず、ただ音になり損ねた空気が漏れた。信じたくない心が、つい数瞬前に見た映像に否定される。
 ざあっ、と音すら聞こえそうな勢いで引いていく血の気。
 力が抜け落ち、崩れ落ちかけた少女の体が傍に立っていた彼女の親友によって支えられ、それを助けるように弓をしまった男が動いた。
「エステル、しっかりして!」
「嬢ちゃん?」
 あまりにも青白い顔を見てリタとレイヴンが声を掛けるが、呆然とある一点を見つめたままの彼女は応えない。
 代わりに、次々と溢れ、零れた涙が頬を伝い落ちていく。
「ユーリ……」
 掠れ、震えた声で青年の名を呼ぼうとも、答える人は、居ない。
 そして慟哭が蒼天を貫き、駆けつけて来た青年の親友と付き従う小さな魔導士は、いつも彼等の中心で不敵に笑む青年が居ない事実と、その身に起こった事故を知るのだった。


*第二部終盤のあの場面を、管理人的妄想で。

COMMENT

コメント投稿

投稿フォーム
名前
Eメール
URL
コメント
削除キー
公開設定