美容歯科 税理士 求人 47.コンプレックス

記事一覧

47.コンプレックス

【ED後/原作ベース/ユーリ&カロル/掌編】


「だぁ~っ!!」
「っと、中々良いけど脇が甘いぜっ!」
 受け止めた一撃を鮮やかに受け流し、素早く身を翻し少年の脇腹に剣の切っ先を突きつけた青年は、少しの間を置いて剣を引いた。
「はぁ……やっぱダメかぁ」
「まあ、得物の違いもあるだろ。武醒魔導器の無い今、それだけ動けりゃ充分じゃねぇの?」
「分かってるんだよ。魔導器の無い今、あの頃とは違うって言うのは。それでも……、ユーリだって同じ条件のはずなのに相変わらず敵わない」
 大きな溜息を吐いて、ハンマーを下ろしたカロル。ユーリは剣の腹を肩に乗せるようにすると、小さく肩を竦める。
「言ったろ、得物の違いもあるって。カロル先生のはハンマー。オレのは剣。ハンマーはその重さを攻撃に乗せて威力を増してるけど、剣は刃と振りの早さが勝負だ」
「……うん」
「ちゃかさずに言うけど、さっきの一撃、並の剣ならぽっきり折れてたぞ。折れなかったのはこいつが最後の剣士って銘ある業物だからで、それにしたって易々と弾き返せずに受け流すことにしたんだし」
 ちゃかさずに、と前置きしてから続けられたユーリの言葉にカロルは瞳を瞬いた。
「それ、本当?」
「言ったろ、ちゃかさずにって」
「うん、でも……、ユーリがそんな風に思ってくれたって言うのが意外で」
「そう?」
「ボクにとっては、凄く大きくて高い壁みたいな存在でもあるんだ。それに大人って、子供に対しては『大人の顔』向けて本当のことって中々言ってくれないでしょ。特にこういうこととか」
 幼い頃から大人達に囲まれていたからなのだろう、それが分かるカロルの言葉にユーリは言う。
「分からなくもねぇけどな。オレの場合、その壁はオレより大人でも子供でもなかったんでね」
「ユーリより大人でも子供でも……?」
「ある意味コンプレックスだな、今思えば」
「……フレン?」
 少年の問い掛けに、青年は少しだけ唇を歪めてみせた。
 幼い頃いつも共に居て、剣も同じ一本を共に使っていた二人。切磋琢磨しながら腕を上げていったが、しかし勝負ごとではいつも金の髪の少年が勝っていたのだと、いつか語った青年。
「近すぎる壁も、大変なんだね」
「そういうこった」
 近すぎて余計に高く見えて、二人が離れて互いの道を見つけるまで本当の高さが見えなかった。
「カロル先生は成長期の真っ最中なんだし、体格が追いつけばオレを負かす日も遠く無いんじゃないの」
「とか言いつつ、絶対負ける気無いでしょ」
「はっはー、さすがカロル先生は敏いな。オレにもオレの思う所があるし、簡単に負けてなんかやんないっての」
「……はあ。やっぱりユーリはユーリだよ」
 溜息を吐いてそう零せば、言われた青年は愉快そうに笑って言った。
「褒め言葉ありがとよ」


*がんばりやさんなカロルと、そんな少年が少しまぶしいユーリの図。

COMMENT

コメント投稿

投稿フォーム
名前
Eメール
URL
コメント
削除キー
公開設定