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51.ぬいぐるみ

【芸能界パラレル「Act!」設定/撮影所にて/掌編】

※この話はMainの「Parallel world」にある芸能界パラレル「Act!」設定での掌編です。詳細はそちらの設定をご覧下さい。こんな特殊なパラレルでもオッケーという方は、折りたたみの中(携帯の方はこの下)をご覧下さいませ。

「見てくださいユーリ、これ!」
「ん? それ……、何かに出て来なかった?」
 スタジオ内では無く、屋外セットでの撮影は天候待ちで頻繁に休憩が取られた。しかしそれ以外のシーンは可能な限り先撮りしているとあって、もうこうして神頼みをするしかやることが無い。
 いつ撮影再開となっても良いように、衣装のまま控え室で台本を眺めていたユーリは、ノックと共に入室を尋ねる少女の声に了承した。そして入ってきた彼女は、開口一番に尋ねたのだ。
 エステルが抱えている独特なフォルムのぬいぐるみ。決して可愛らしいとは言えない、つぎはぎの体にボタンで表された目。ユーリはどこか見覚えのあるそれに、首を傾げた。
「これ、深淵の物語に出て来た『アニス』の武器のトクナガです」
「深淵の物語、って……。ああ、このシリーズの十周年記念作品の。……ぬいぐるみが武器なの?」
「『アニス』は人形師ですから。彼女の武器のトクナガは、彼女の音素振動数に反応して大きくなるんです。それを操って戦うんですよ」
 生き生きと語る少女に、青年はふぅんと頷き、伸ばした手でぽふ、とぬいぐるみの頭を叩く。
「その前の作品の小道具を、何で持ってるわけ?」
「ユーリは知りません? このシリーズ、色んな所に他のお話と繋がりがあるものが出てきたりするんですよ。それで、スタッフの皆さんと次は何にしようかって倉庫でお話ししながら探してたんです」
「で、それに決定?」
「候補にはなってますけど、まだです。ユーリも行きません?」
 ぎゅう、とトクナガを抱き締めるエステルに、ユーリは片眉を上げて彼女を手招きした。
 小首を傾げながらも素直に歩み寄ってきた彼女は、不意に腕を引かれて抱えていたぬいぐるみを取り落とし、あっと言う間もなく青年の腕の中へ。
「……ユーリ?」
「オレはこっちのが良い」
「…………トクナガにヤキモチです?」
「さて、な。あんたはどう思う?」
「少し嬉しいかもしれません」
 くすり、笑いながら答えた少女の曖昧な答えに青年は僅かに面白くなさそうな顔になり、それを見てエステルはもう一つ声を立てて笑った。

*「50.許さない」より後の時系列のお話。

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