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55.木

【ED後/花の街ハルル/ジュディス&リタ/超掌編】

「珍しいじゃない、あんたが此処に居るの」
「あら、そうかしら?」
「少なくとも一人で、って言うのは初めて見たような気がするけど、ジュディス」
 名を呼ばれた女性は、木の幹に手を当てたまま少女を振り向き、微笑した。
「ハルルを見守り続けてきた方だから、一度きちんとご挨拶してみたかったの」
「……分かるの?」
「エステルのヴェールの一件で知っているでしょう? いらっしゃるわよ、此処に」
 ねぇ、と微笑を深めながらハルルの木を見上げたジュディスに答えるように、枝がざわめく。風も無いのに確かに揺れた枝から、はらはらと零れ落ちてくる花弁が二人に降り注ぐ。
「で、何て?」
「満月の子と凛々の明星を宜しくお願いします、ですって」
 うふふ、と楽しそうに笑う彼女に、少女――リタは半眼になった。
「ちょっと、本当でしょうね」
「本当だと思うわ」
「思うわ、って。何よ、曖昧な」
「バウルとは違って、少し分かりづらいのよ。でも、間違っては居ないはず」
 その通り、とでも言うように再び木の枝がざわめき、いっそう花弁を散らす。
 リタは苦笑しながら小さく肩を竦め、ジュディスはそれを見てくすりと笑い――、そして二人揃って長き時を生きる大樹を見上げた。

*クリティア族のナギーグは植物からも何か読み取れるのだろうか、と思いつつ。

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