センチュリー21 翻訳会社 狩人たちのとある一日・1 さあ狩りに出掛けよう!【主人公・ユーリ・クレス・チェスター】



「どっかに行くの?」
 準備を整えて甲板へ出ると、そこで剣の鍛錬をしていたのだろうユーリがリティスの姿を見て問いかけた。
「はい。丁度停泊していますから、チャットに森で狩りをしてくると言って、出掛けようとしているところです」
「へえ、狩りか。俺も行っていいか?」
 即席の的を用意してこちらも鍛錬に励んでいたチェスターが言えば、同じように弓を手にしている少女は笑顔で頷く。
「はい。目標は皆さんの分ですから、チェスターが来てくれると助かります」
「ならナナリーとウッドロウも誘わないか?」
「あ、声を掛けてみたんですけど、ナナリーはパニールのお手伝いでお掃除を、ウッドロウは他のお仕事で手が離せないそうです」
「なんだ、初めて弓を使う人間でパーティが組めるかと思ったのに」
 腕を磨いた成果を見せてやりたかったぜ、とびぃん、と弦を弾いたチェスターに、ユーリと剣を交えていた彼の幼馴染が朗らかに笑った。
「なら、今日は僕で勘弁してよ。リティス、僕も行っていいかい?」
「はい。クレスはチェスターと一緒に狩りに行ったりしてたと聞いたことがあります。こちらこそお願いします」
 ぺこりと軽く頭を下げた彼女に、クレスはいいんだとまた一つ笑う。
「んじゃ、オレは一応護衛で着いて行くか。狩りに集中している間に魔物に襲われた、なんてシャレにならねぇし」
「ユーリも来てくれるんですか?」
「狩りに関しては素人だし、邪魔なら行かないけど」
「そんなことありません。来てくれると心強いです」
 微笑して言ったリティスに、ユーリは口元を持ち上げる。それを見ていたチェスターが訓練用の的から矢を抜きながら言った。
「暇な時に採取してれば、獲物以外の収穫も増えるしな」
「そうだね。木の実とか果物も採って行こうか」
「まあ、リティスが居るからな、その辺りは平気だろ」
 ユーリの言葉に二人の少年達も頷いた。一方、当の本人は不思議そうに首を傾げている。
「私が居るからですか?」
「ああ、気にしなくていいって」
「そうそう、些細なことなんだから」
「その些細も積み重なれば結構なもんだけどな」
 彼女が居ると採取や採掘などでの「引き」が強いのだ。だからその手の依頼が入ったならば、まずリティスを連れて行け、というのはアドリビトムの中での暗黙の了解となっていた。
 何故、彼女に秘されているかというのは、科学室のメンバーがこう言ったからである。
「気付いた途端にその手の恩恵が無くなることは多いですからねぇ」
「そうね。運、というのは気付いていないくらいが良いと思うわ」
「そうですわね。はっきりと調査がされたわけではありませんけれど……」
「ああ、それならやったことがあるわ。気付かされると意識して、自分から取りこぼしているってのが多かったけどね」
 このことはひっそりと彼女を除く者達に伝えられ、その結果、アドリビトムでは採取採掘の依頼が日を追うごとに増している、とか。


さあ狩りに出掛けよう!
皆が一緒なら獲物も木の実もいっぱい取れますね!
さらっと何となく書いた小話。微妙に続き物になっています。次は狩りの場面とかを。
[脱稿:09'3.31 掲載:09'4.1]


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