(アスベル……)
久し振りに会った幼馴染は、想像以上に大人になっていた。
背も高くなり、声も低くなり、雰囲気も落ち着いていて。
(……手の届かない人、か)
七年。
ついこの間まで、いつか騎士になった彼が会いに来てくれるものだと思っていた。
けれど、アストン様が亡くなったことで今更に思い知らされたのだ。
彼は領主の息子、自分は執事の孫娘。
出会った時から当たり前だった、しかし意識して来なかった立場。
父親に反発し、家を出た彼だったけれど、今回ばかりは予断を許さない状況だ。教官に自分の目で見て状況を知らせろと命を受けていたとは言え、実際に彼がそれを目の当たりにすれば……優しい彼のことだ、彼はアストン様が亡くなったことによって空いたままとなっている領主の座に就かざるを得なくなることだろう。
そして立場はますます遠のく。
彼は領主、自分は何の役も無い執事の孫娘。
状況が落ち着けば、やがて彼は自分の母と同じような、名門の出の令嬢を妻に娶ることになるだろう。
(分かって、いるから……)
初恋は叶わないもの。
だけど――だから、あと少しだけ。
素直になれなくても、昔のように話しかけられなくても。
傍に。