格安航空券 当日 海外ホテル Offline「Arditamente」Sample



 突然だが、アスベル・ラントは危機に直面していた。
(ど、どうすれば……っ)
 伏せ目がちに近づいてくる小さな顔。
 ふわりと鼻腔をくすぐる甘い香り。
 腹部に感じる重み。
 触れた部分から伝わる熱。
「アスベル……」
 聞いたことの無い、甘い、甘いその声。
 何とか出来ないことは無いのだ。けれどその声を耳にすると、抵抗という抵抗が出来ず。
 ――そして、結論が出せずに一人思考を迷走させていたアスベルは「二度目」の感触を得ることになった。


 発端はパスカルが取り出した数本の酒瓶だった。
 星の核へ向かう前に戦力強化を、とシャトルの機動力を生かして数日の期限を設けた上でエフィネア各地の探索を行うことにした一行。
 その期限もあと二日、という所で彼等はパスカルとマリクの故郷であるフェンデルを訪れた。内部の様子を調査する為に少しだけ降りてみたガルディアシャフトで手に入れたアトリモス・コアで、アストンの形見の剣――原素の剣とも呼ばれるエクスカリバーの修復をする為だ。
 アンマルチア族の長が自ら修復を手がけ、無事に本来の姿を取り戻した剣。それを携え、総統への報告がしたいというマリクの希望からザヴェートに向かった彼等。
 用事が済んだ頃は既に街は闇に包まれており、加えて吹雪も強いことから宿屋で一泊と相成った。
 フェンデル特有の魚貝を使った料理を堪能した後、宿の食堂を出たパスカルが腕に酒瓶を抱えて戻ってきたのだ。


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 淡く染まった頬、けぶる睫の下に覗く瞳はどこか艶を湛えていて、崩れ落ちた体を支える為に腰に回した手は女性らしい体つきを確認させることとなって。
「ええと、階段危ないから」
「……え?」
 抗議の間も無くふわりと浮いた体に、咄嗟にぐらついた上体を支えようとアスベルの胸元に添えられていた両手でシャツをきゅっと握り締めた。
「アスベル……!」
「すぐだから」
 横抱き――いわゆるお姫様抱っこというやつだ――をされたと気付いたシェリアは声を上げるが、彼女を抱えた青年はお構い無しに歩みを再開する。


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(俺は、どうして……っ)
 アスベルにとって、彼女は「守るべき者」だった。
 幼少期に体が弱かった彼女の印象が刷り込まれていることもあるのだろう、既にその面で問題が無い今もその意識は強い。
 それが、傷つけたり、汚してはいけないという思いと繋がっているのだ。
 いつまでも綺麗なままで――そう、まるで彼女がラントで言われている「天使」のようで居て欲しい、と。
 誰にでも平等で優しい「天使」。
 けれど幼馴染と家族には少し違う特別をくれる「天使」。
 そんな「天使」であれば、特別な一人を決めないで、いつまでもずっと、傍に居てくれると思って。
 怒りながらも、それでも七年間ずっと待っていてくれたのだから。
(っ、俺は今、何を考えた――!)
 子供のワガママのような傲慢な願い。
 しかしそれは今夜、図らずも叶うことになるのだろう。酒に酔ったシェリアがこれを望んだことで。その相手がアスベルだったことは、青年にとって幸運だったのか。
 いずれにせよ、このまま何もしなければ結果は見えている。
 だが青年は、結果が分かっていても、自らが抱く考え――ワガママが「独占欲」からくるものだということは全く気付いていなかった。










「Arditamente」
「Arditamente」[A5/FCオフ(角丸加工)/28P・2段組/R18] 500円
※18歳未満の方には頒布出来ません。お求めの際には年齢確認が可能な
身分証明書をご提示頂きます。

※TOGの本編第三部終盤。本編で二人をそういう関係にしてみよう、というのがテーマ。若干シェリアスシェリみたいな、微男性向け展開。上記は冒頭部分と、制限シーンのそういう描写が無い部分のサンプル。


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