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77.サボリ決定

【「waltz.」設定/「as you wish」の直前/掌編】

(メシの後に座学……しかも宮廷儀礼に関することなんて、何の拷問だ)
 込み上げてきた欠伸をかみ殺しながら内心で愚痴を零した黒髪の青年は、そう言えばと次の予定を思い出して眉根を寄せた。
(……げ、次は舞踊かよ)
 騎士団に女性が居ないわけでは無いが、それでも男女比は九対一くらいという圧倒的男性社会だ。
 当然、本来なら男女で組むべき舞踊の練習も、男同士で組まなければならない。必然的に片方は女性のパートを踊ることになるが、本来どうして習うのかと言えば、騎士として女性をエスコートして夜会などで相手を務める可能性があるからなので、勿論男性のパートも覚えることとなり――両方のパートを覚える必要がある。
 一度やって両方のパートを簡単に覚えてしまった青年は、舞踊の教官から女性役をやるよう命じられることが多い。恐らくは髪が長く、細身である(本人は認めないが、どちらかと言えば女顔である)ということもあるのだろうが、本人にしてみればたまったものではないのだ。
 本格的に組んで練習したのはこれまでに二回。
(二度あることは三度ある、なんて冗談じゃねぇ。サボリ決定、だな)
 昼寝でもするか、と思いながらどこなら見つからないかと考え始めた青年。
 睡魔との闘いを繰り広げた座学の後、次に控える舞踊の時間をサボるべく彼は一人抜け出した。
 そして、都合の良さそうな枝で午睡をと木に登ってすぐ、近くの窓の向こうに、自らはサボった舞踊でやるはずだったワルツをたどたどしく踊る少女を見つけることになる。

*シリーズ「waltz.」の二人の出会いの直前。

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