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18.自慢のコレクション

【本編中/第三部終盤/ユリエス/掌編】


「何書いてるんだ?」
「あ、ユーリ。見てください、大分埋まりました!」
 最終決戦に向けて戦力強化を目的にバウルの力を借りて世界を巡っていた一行は、休息と補給の為にハルルへと立ち寄っていた。ほぼ一日の自由な時間は久し振りのことであり、仲間達は各々好きなように過ごしているようだ。
 ユーリは宿に取った部屋で剣やら防具の手入れをしていたが、ふと空腹感を覚えて作業を中断して部屋を出た。他の部屋を見ても空き室で、宿の主人に聞いてみればそれぞれから昼食は要らないと断りを受けているとのことだった。ただ、その中にエステルの名が無かったので、どうせなら外で摘めるものをと頼んで作ってもらったそれを持って探しに出て――そしてハルルの樹の下で座り込んで熱心に何かを書き付けている少女を見つけたのだった。
 隣に腰を下ろして見てみれば、それはアイテム図鑑。装丁もそれなりに立派で分厚いそれが、手に入れた当初は実はほぼ真っ白だったことを知るユーリは、感心したように声を漏らした。
「へえ、確かに随分埋まったな」
「はい。この旅で、色々な物を手に入れましたから」
 武器も、防具も、道具も、素材も、それ以外の貴重な物も。一つ一つに大なり小なり思い出があり、これを見返すとその時のことを思い出すのだと少女は微笑みを湛えながら語る。
「世界一周どころか、数周はしてるし」
「ふふ。数ヶ月前には考えもしなかったことです」
「だな」
「もう手放してしまった物もありますけど、此処にちゃんと記録は残ってますから。それも自慢のコレクションの一つです」
 言って、ぱたりと図鑑を閉じた少女に、包みが差し出された。
「ユーリ?」
「まだ昼飯食ってないんじゃないの? 宿の女将さんに包んでもらったサンドウィッチ」
「あ、そうでした」
 途端、くぅ、と小さな音が響き、一瞬の静寂の後に青年の堪え切れなかった笑い声が響きだす。
「ユーリ……!」
「くくっ、わ、悪い、いや、分かっちゃいたけど、このタイミングはな、さすがエステル」
「……ユーリは意地悪です」
 ぷい、と顔を背けながら開いた包みの中のサンドウィッチを手にぱくりとかぶりつく。レタスとハムと言う定番の素朴な味わいのそれは、空腹だった彼女には何よりの美味だったらしい、途端緩んだ頬に、それを注視していた青年の笑いは続き……、少女がお仕置きです、と昼食の包みの中からデザートを取り上げるまで止まることは無かった、らしい。


*現実には頑張ってるけどまだ未コンプなアイテム図鑑。

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