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27.キラキラヒカル

【現代パラレル「毎日がSpecialday」設定/ユーリ21歳・エステル18歳・夏休み/掌編】


 どこからか聞いたことがあるようなメロディーのハミングが聞こえてきて、ユーリは周囲で眠るお子様達を起こさないようにしながらテントを抜け出した。
 毎年、夏季休暇の真ん中辺りで行われるサマーキャンプ。園の中でも主に小学校に通う子供達が参加し、それ以上の中高生達も受験が無い限り参加したりで引率役の大人達の手伝いをしてくれている。
 今回、その引率の助っ人としてユーリとジュディスが参加し、ユーリとカロルに誘われたエステルとリタも二人の手伝いも兼ねて参加していた。
(エステル、か……?)
 楽しげなハミングの響いてくる方へ足を向けたユーリは、テントを張っている場所から少し離れた所に立つ少女の姿を見つけた。彼女も一度眠ろうと思ってからテントを抜け出して来たのだろう、ワンピース風の白いナイティを着たまま夜空を見上げている。
 良く晴れた濃藍の空には、銀の砂を散らしたような空一面の星。
「ああ、きらきら星、か」
「っ、ユーリ……!」
「しっ。チビ達が起きちまう」
「そうでした……」
 驚いて声を上げようとした彼女を止めると、ユーリはエステルの隣に並び立つ。
「もしかして、起こしてしまいました?」
「いや。カロルが寝付いて自分も寝ようと思った所で気付いただけ。にしても、テントからそう離れてないとは言え、夜中に一人で出歩くなって」
 もしテントを出る用事があったとしても、必ず誰かと共に行くこと。一泊二日の予定のサマーキャンプの一日目の夜、ユーリやジュディスを含めた引率役の大人達が真剣な顔で言い聞かせていたことだった。
「ごめんなさい。少しだけ夜風に当たってから戻るつもりだったんです。そうしたら星が綺麗で、つい」
「まあ、これを見れば気持ちは分かるけど」
 小さな頃、誰もが一度は歌った歌の詞を表したかのような星空だ。キャンプと並んで毎年恒例の天体観測は八月の終わり頃に行う予定だったが、折角ならば望遠鏡を持ってくれば良かったかもしれない、そう思わせるだけの光景。
 エステルは仮にも受験生なのだから、と思いつつ日頃から真面目な彼女なら逆に息抜きになるだろうと誘ったキャンプ。だからこそ天体観測はさすがに声を掛けるのは止そうかと思っていたユーリだが、こんなにも嬉しそうに星空を眺める姿に、口を開く。
「再来週、八月の終わり頃なんだけど」
「はい?」
「キャンプと同じように夏の恒例行事で天体観測がある。主にお子様達の自由研究とか課題の対策でな。で、またオレとジュディが引率に駆りだされてるわけなんだけど……エステルも来る?」
 小首を傾げて聞いていたエステルは、思わぬ誘いに目を瞠ってから微笑した。
「はい!」
「エステル、声」
「す、済みません。あの、是非。リタも誘って良いです?」
「ああ。明日にでも話してみて。まあ、あんたが参加するなら十中八九参加するんだろうけど」
「リタにも予定があると思いますけど、一緒に参加出来たら嬉しいです」
 青年の言葉の意味を深く考えず、純粋に友人と参加出来たら嬉しいという思いで返した少女に、ユーリは小さく笑いながら彼女の頭を軽く叩いた。

*「14.天体」のその前のお話だったり。

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