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キッチン有難う御座いました!

キッチンお疲れ様で御座いました!
新刊は無く、既刊のみということで非常に切なくもあったのですが、お手に取って頂けた皆様には感謝感謝で御座います。そして残部3冊だった2月菜園の現代パラレル本が完売致しました。非常に季節モノというかある意味生ものですので、お早めにご覧頂ければ幸いです。
ご挨拶したい方ともお話出来て良かったです。惜しむらくは、原稿の為に宅急便搬出時間を待って終了前に引き上げることにしたことでしょうか。
兎にも角にもお疲れ様でした!

さて。原稿はと言えば…………ちょ、半端無くヤバイんですが。印刷所さんには予約は入れてあるとは言え、これってほんとにヤバイ。ぎりっぎりまであがいてみよう、うん。
ちなみに今回のキッチンで出したいと足掻いていた話は、スパコミか6月の菜園でと思ってます。

365のお題、本日分更新しております。今回はレイリタで。ユリエスではいっぱい「好き」と言う話があるので、今回はこの二人で書いてみました。偽者ちっくで済みません。

4.好き

【ED後/原作ベース/レイリタ/掌編】

 一応、嫌われているわけではないと思う。寧ろ好かれているだろう。調子が良いが、その辺については意外なほどきちんとしているというか、線引きがあるというか。旅をしている頃に見ているから間違いではないはず。
 都合が合わず、半年程顔を合わせる機会が無かった男の背中を見つめながらリタは思っていた。
 恐らく半年も間が開いたのは、実は無駄に要領の良いこの男が、いざという時に堂々と言える『言い訳』を作りながら避けまくっていたからだ。
 十中八九その原因は、前回会った別れ際の少女の一言だろう。
『あたし、あんたのことが好きだわ』
 船が出発する直前、しかも直後に汽笛が高らかに響いたものの、男の表情が一目見て「驚愕」と言えるそれに変わっていたことから、リタの言葉は届いていたも同然で。
 だからこそ半年もの間「逃げて」いたのだろう。リタ自身、研究が忙しかったこともあり、あえて沈黙を保っていた。しかし皇帝とユニオンからの共同の開発研究の依頼を伝える為とは言え、自ら足を運んだのは何かの決着なり折り合いなりをつけて来たはずなのだが――、男はリタと顔を合わせると一瞬固まり、明らかにぎこちない態度で挨拶し、以降挙動不審も顕だった。
 取り合えず部屋に招き入れて茶の用意をすると言って外していたが、どうしたものか。
 はあ、と一つ溜息を吐くとぴくりと揺れる肩。
「砂糖は入れてない。ミルクかレモンなら自分で入れて」
 言いながらテーブルに歩み寄り、男の前にティーカップを置く。テーブルの中央にミルクの入った小さなピッチャーとレモンスライスを置いたプレートを置く。最後に向かい側の端に自らの分のティーカップを置いてから席に着くリタ。椅子を引いて俯きがちだった顔を上げれば、正面に座った男の視線がサッと逸らされる。
「…………おっさん、いくら何でも態度悪すぎ」
「あ、えーと。そういう、つもりじゃなかったんだけどね」
「じゃ何で目逸らしたワケ? ――ああ、きっぱり拒絶しようと思って気まずくて?」
「そうじゃなくって。あ〜……、ちょっと心臓に負担がありすぎて」
「心臓っ!? 何よ! 調子悪いならさっさと言いなさい!」
 ガタンっ、音を立てて立ち上がった少女の剣幕に、男はぎょっとしたように背を逸らせた。背もたれに阻まれて椅子がガタリと揺れ、慌てて体勢を立て直した所で少女が男のすぐ横に立った。
「え、リタっち、そうじゃなくって……!」
「診せなさい!」
「だから――」
 男の抵抗もお構い無しに胸元のボタンを外して広げ、露出した胸の心臓魔導器に手を当てるリタ。
「――異常は特に、無し……。それにしては拍動が早いわね……」
 安心したように吐息を漏らしながら言った少女に、男は心底疲れたとでも言うように溜息を吐いた。
「そりゃ、仕方ないでしょ」
「仕方ない? 何がよ。こういうのは早めに対処しないと――」
「リタっちが触れてるし」
「…………は?」
 どくどくと早鐘では無く、けれど平素よりも早い鼓動。触れている手を外せないまま、顔を上げたリタに、男はまた視線を少し逸らした。
「また。だから何よ、何なの!」
「半年って長いんだー、って思い知ってるとこなのよね。――予想以上に、綺麗になってて」
「…………」
 頬を赤く染め、ぱくぱくと言葉も無い様子の少女に気付き、男は口元を持ち上げて自らの左胸に当てている彼女の手に右手を押し当てる。
「おっさんはさ、生き返ってからまだ一年くらいだし。正直まだ、どうして良いか分からなくなったりするわけよ」
「…………うん」
「だから、今はこれで勘弁して?」
「……ん」
 いつか、ちゃんと言葉で伝えるから。
 この作り物の心臓が、こうして平素より早く拍動するその理由を、いつか。
 頷いて、俯いたままの少女に囁くように降って来た声。リタは途切れることなく命を繋ぐそれの上に置いた右手を僅かに強く押し当て、気付いた男は更にその上に置かれた右手で包むように握り込んだ。

*EDから1年半くらい経った頃ということで。告白は多分リタからかなーということで、脳内イメージで。でもってこれの未来がクリスマス企画でのレイリタで、更にその未来がキスのお題の「手の平の上なら懇願の」となるわけなのです。

Tales Kitchenのお知らせ

間に合いませんでしたので、新刊はありません。
ああああ、何て言うむなしさ。八割は書けてたのに……。
と言うわけで、本日の頒布物は以下の通りです。

「×××」500円
春コミ発行のユリエスで7本の掌編連作集。キスがテーマ。

「Sweet or Bitter?」400円
2月オンリー発行の現代パラレルユリエス本。残部極少。

他、春コミで配布していたペーパーの余りがありますので、
お買い上げの方に先着順でお付けしたいと思います。


また、釣銭が不足気味ですので、小銭をお持ちになってスペースに
来て頂けると大変助かります。