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挑戦と実験と。

365題はこれまで書いてなかったものを、と意識しつつ書いてます。今日更新した8番目の「名前を呼んで」もその一つ。実は本編中のことって原作ベースの「waltz.」シリーズを含めて、ほとんど書いていないんです、今まで。書いていても第二部の終盤とか第三部で、第一部中の情景は今回が初めてかも。この辺りは実際に自分でゲームをやってたのは半年以上も前のことなのでうろ覚えだったりしますが、こんなことがあれば良いなと願望で。ツンツンデレなリタを表現するのが難しいです。微ユリエスなのはやっぱり趣味ですから。

それにしてもようやく色々雑事が少しずつ片付いてきて、TOVに限らずサイトさんとかにお邪魔させて頂いてたりするんですが、ブクマ増やしたい……! 週末辺りに是非ともがっつり増やしたい。
でもってV以外だと「お前どうして今頃そんなもんにはまってるんだよ、馬鹿じゃないの」という作品に熱中してます。ぶっちゃけ三次元系で、知らない人は居ないんじゃないかと言うくらい超有名な音楽舞台系の作品ですよ。ちなみに外国産。
今まで三次元は某きっかけは~の局で放映してた、元ネタもう知らない人も多いんじゃないな元都知事と苗字が同じだった刑事のドラマくらいしか本格的にはまったことは無いのですが。ちなみにそのドラマの映画2は劇場に両手指の数だけ通って観ました(実話)。
五年前にリアルではまってたらファンサイトさんいっぱいあったんだろうなー、とリンクから飛んで404が表示される度にがっくりしながら思ってます。ちなみにその映画も片手は越えないですが数回劇場に通ったくちです。

と、Vと関係ないところで思わず語ってしまいました。略語だけで分かってしまいそうなので書いていませんが、やっぱりその作品でも主人公×ヒロイン派。主人公が不遇だから二次の世界でも余計に幸せにしてあげたくなってしまう……。ということで分かったお方は凄い。
ではまた明日、お題更新後に。

8.名前を呼んで

【本編中/ヘリオード出発後~ダングレスト前/エステル&カロル&リタ中心で微ユリエス/短編】

「エステル」
 名前を呼ぶと、少女はいつも笑顔で視線を向け、歩み寄って来る。
「はい、何ですカロル?」
「うん。ダングレストまでまだ距離があるし、皆がそれぞれ持ってる薬の確認をしようと思って」
「あ、はい。そんなに多くは持って無いですけど」
 ひらりとしたスカートの隠しに入れていたのだろう小さな皮製のポーチ。開いて中に収められている薬品の種類と数を告げていくエステルに、カロルはメモを取っていく。
「――以上です」
「ありがとう、エステル」
「お安い御用です。それに、いざという時はわたしも居ますから」
「勿論、頼りにしてるよ。でも頼りすぎても駄目だと思うし、これは旅をしていく中で大切なことだからね」
 カロルの言葉に頷いた時、また別の声が少女を呼んだ。
「エステル」
「はい。どうしたんです、リタ?」
「べ、別に大したことじゃないけど……。ガキんちょと話し込んでるから何かと思っただけ」
 ヘリオードでの一件以来、エステルに対してはこんな態度を多く見せるようになった魔導少女。淡く頬を染めてふい、と視線を逸らしながらも歩み寄ってくる様子に、年上のほわんとした少女は微笑を浮かべた。
「持っている薬の確認です。カロル、リタにはもう聞いたんです?」
「え? あ、ううん、まだだけど」
「それなら丁度良かったです」
 ね、と笑顔を向けられてリタは口元を曲げながらも腰のポーチに手を掛けた。
「一度しか言わないわよ」
「わ、ちょ、ちょっと待って!」
 魔術を主な攻撃手段とする魔導士の彼女らしく、滑舌良くすらすらと薬品の種類と数を声にしていく。一度しか言わないと言ったからには嘘では無いのだろう、必死にメモを取りながらも、しかし微笑ましそうに見ている少女がお願いすれば覆されるのだろうなとカロルは思う。
「ところでリタ、ユーリは知りません?」
「さっき犬っころと向こうに居たのは見たけど」
 向こう、と指さしたのは昨夜野営で焚き火を焚いた場所だった。荷物の多くもそちらに置いてあるのだから、荷物番も兼ねて居るのだろう。
「そろそろ出発の時間です、行きましょう」
「そうだね。天気も良いし、今日中にはダングレストに着けるんじゃないかな」
「今日こそベッドで寝るわよ」
 小川の傍から離れて青年とその相棒の待つ場所へと向かう最中、カロルはそう言えばと何気なく隣を歩く少女に問い掛けた。
「エステルって、いつも嬉しそうだよね」
「そうです?」
「そうかも。名前呼ぶと、大抵笑顔で振り向いてる」
 カロルの問いに続き、リタにも言われ、ああと少女は頷く。
「はい。『エステル』はわたしの宝物ですから」
「宝物?」
「今だからもう隠さずに言いますけど……。わたし、小さい頃からお城暮らしでした。遠縁ではありますけど、それでも皇族の一人には間違いありませんから、継承権もあって……、それで『姫』とか『殿下』って、そう呼ばれることがほとんどでした。名前で呼んでくれるのは、お母様くらいで……それも一人となってからは機会も無くて」
 ふ、と少し寂しそうに笑んだ少女に、カロルもリタもまずいことを聞いてしまったかと表情を曇らせる。それに気付いたのだろう、エステルはふふと声を零して笑った。
「ヨーデルは家族のようなものですし、フレンはお友達となった後には名前で呼んでくれるようになりましたけれど、それでも『様』が付きますから。だから、ユーリが『エステル』をくれた時、本当に本当に嬉しかったんです」
 形に無いものを抱き締めるように、両手で胸元を押さえながら語った彼女の柔らかな笑みは、少し遠く響いてきた声に更に深まる。
「――エステル」
 出発前に剣の手入れをしていたのだろう、伏せるラピードの隣に座って獲物に曇りが無いかを見ていた青年が片手を挙げながら少女の名を呼んでいた。
 それに手を振り返しながら、エステルは一歩進み出、少年と少女を肩越しに振り向く。
「勿論、呼んでくれる皆のことも負けないくらい『宝物』です。だから、これからも、わたしの『名前』を呼んでくださいね、カロル、リタ」
 笑って、それから青年の待つ場所へと駆け出した少女。
 取り残された二人は立ち上がった青年と、嬉しそうに会話する少女の様子を見て、図らずも同じことを思ったようだった。
「……ユーリがくれたから、なのかな」
「あいつだから、でもあるんじゃないの。癪だけど」
 足を止めたままの二人に気付いたのか、エステルが手を振りながら声を上げる。
「――カロル、リタ、どうしたんです?」
「仕度済んだなら行くぞ。じゃねえとエステルが今にも走り出しそうだし」
「ユーリは楽しみじゃないんです?」
「……まあ、そうは言わないけど」
 そのやり取りに小さく笑い、カロルは手を振り返した。
「今行くよ、ユーリ、エステル!」
「そうね。これ以上癪になるのも何だし」
 リタの言葉にカロルは苦笑し、少女の呟きが聞こえない距離に居る二人は不思議そうに顔を見合わせ、そんな様子を見て遅れた二人は笑いながら彼等の待つ場所へと歩を進めるのだった。


*ヘリオードを出た後、ダングレストに向かうまで。