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53.石

【本編中/第三部終盤/微ユリエス&カロル/掌編】


「ユーリ! あったよー!!」
 はい、コレ。駆けて来た少年が差し出した手の平の上には、まるで星のような形をした、それ自体淡く光を持つ石が二つ。
「お、サンキュー、カロル先生」
「これで合成に必要な数は集まったんじゃない?」
「そう言えばユーリ、最近星石を集めてましたけど、何の合成に使うんです?」
 共に戦闘メンバーとして戦っていたエステルがスカートの裾を軽く叩きながら問うと、青年は腰に下げていた道具袋を覗き込みながら答えた。
「剣をな。赤、青、緑、橙、それから光。五種類の星石を五個ずつ。天地の窖のコザクラ曰く、それで他に無い武能を秘めた剣が出来るはず、なんだと」
「星石って中々集められないのに、五種類を五個ずつだもんね。集め始めてから結構掛かったんじゃない?」
 カロルの問いに、確かにとユーリは頷いた。
「地道にスーパースターの各色が落とすのを集めるしかねぇかと思ってたら、ナム孤島のガチャガチャから出てくるんだもんな。あれは正直、喜んで良いか憤って良いか複雑な気分だったぜ」
 肩を竦めた青年に少年と少女は顔を見合わせて笑って、それから少年は待機していたジュディスに声を掛けられてそちらへ駆けて行った。その背中を見送って、青年を見上げて口を開くエステル。
「でも良かったですね、これで必要な数は集まったんでしょう?」
「ああ。丁度明日はヘリオードで休息予定だし、あそこの合成屋に頼んでみるつもり」
 手際とセンスが良いってジュディお墨付きだし、と呟きながら光星石を道具袋に入れようとした彼は、ふと瞳を瞬いて一つだけをそこに入れ、残った一つをエステルに向かって放り出した。
 慌ててそれを受け止めた彼女は、不思議そうに青年を見上げる。
「ユーリ?」
「一つだけで良かったから、あんたにやる」
「わたしに、です?」
「何かに使っても良いし、その大きさだったら文鎮代わりになるんじゃない?」
「星石を文鎮にするんです?」
「まあ、何でも良いけど。要らないんならフィエルティアの倉庫に入れとく」
「いいえ、大切にします。有難う御座います、ユーリ」
「どう致しまして。っても、あんたのお陰で取れたもんでもあるけど」
「それでも、です」
 笑顔で言った彼女にユーリも口元を持ち上げて、並んで二人を待つ仲間達の元へ歩いていく。
 少女の手の中には、彼女だけの物になった小さな星が淡く光っていた。


*光星石が淡く光ってるってのは捏造です。大きさとかは手の平に収まる程度、というのも。

菜園の委託新刊サンプル。

おおお、こんな時間……!
取りあえず、予定の二種の用意が出来ました。後はコピーして製本するだけ。というわけで、この後に出発致しますので、その前にサンプルを。
ただし「SRB準備号」のサンプルはございません。(この本自体がサンプルのようなものですから……)

●委託先
「Cavalier」200円 【ニラ25/豆屋さま】
 ……RM2設定捏造騎士姫
「SRB準備号」200円 【ニラ22/アスタリスクさま】
 ……夏発行予定作品の準備号

●「Cavalier」サンプル(冒頭部分)


「エステリーゼ様、お怪我は御座いませんね?」
「はい。……思っていた以上に追っ手がつきましたね」
「ヨーデル様と騎士団長代行から漏れることはまずありませんから……。街に鼠が放たれていたと考える他無いでしょう」
 ヒュッ、と剣を振って血糊を払うと、黒髪の青年は静かに剣を収めた。
「ユーリ……」
「ご心配には及びません。追っ手が諦めないのであれば、私が全て斬り伏せましょう。エステリーゼ様には指一本触れさせることは御座いませんので、ご安心を」
「はい。ユーリは私が誰よりも信じる騎士ですから、その言葉を疑うことはありません。でも……ユーリにばかり苦労を掛けて済みません」
 両手を胸の前で組んで心苦しそうに俯いた主に、彼女に仕える騎士はいいえと否定する。
「殿下に忠誠を誓いしきしとして、お守り出来ることに喜びを感じることはあれど、厭うことなど御座いません。ですが、私を案じて下さる殿下の御心はとても嬉しく思います」
 その言葉に顔を上げた少女は、青年の微笑を見て瞳を伏せ、一つ息を吸う。そして再び瞼を持ち上げた後は、憂い顔は消えていた。
「まだ、帝都を出て幾許も経たないというのに、これではいけませんね。……ユーリ、ヨーデルとフレンからの迎えが来るまで宜しくお願いします。……ですが、なるべくなら貴方も傷つかないように」
「Yes,Your Highness」
 いつまた追っ手が来るとも知れぬからか、さすがに膝をつくことはしなかったものの、右手を胸に置き立礼する青年。彼は頭を上げると少女に告げた。
「この先にある街で白鳥と落ち合う手はずとなっております。夜の闇に紛れてとなりますので、エステリーゼ様には今しばらくのご不便をお掛け致しますが……」
「構いません。彼に会って今後のことを話すのでしょう? 急ぎましょう、ユーリ」
「は。では、お手を」
 差し出された右手に左手を乗せた少女が頷くと、騎士は心持ち急ぎ足でその場から離れた。


 ――帝国。グラニデの中でも広大な国土を持ちながら、これまでその国境を他国に許すことがなかったその国は、この世界にあるどの国より歴史ある古い国と言われている。
 それ故に国家として名を持たなかったが、この国の他に国家が出来るようになると便宜上『テルカ・リュミレース』と呼ばれるようになった。由来ははっきりとしていないが、一説によると建国当時の古い言葉で『新しき祝福の地』という意を持つとか。
 他のどの国も持ち得ない技術によって各都市を結界で包み、魔物の脅威を排し、他国との接触を最低限に抑えていることから、外交に携わることの無い一般人からは半ば幻の国と思われてさえいた。
 その帝国の国境を越え、隣国に当たる土地の辺境の中興都市へ夜の闇に紛れて入った二つの影は、街の外れにある邸へと向かう。
「ユーリ、ここが?」
 尋ねた声に、人差し指を口元に置いて静かにするよう示しながら、青年は邸の勝手口を叩いた。普通のノックではなく、合図だと分かる独特のリズム。ややあって内側から鍵の外れる音が響いた。
 普段なら主を置いて先に入ることはしないユーリだが、今日は用心の為に自らが先行する。案の定、一歩中に足を踏み入れた所で彼の首に短刀のようなものの切っ先が突き付けられる。
「男の聖騎士にしては遅いご到着だ」
「我が君の為に万難を排し、ここへ向かった故だ、騎士団隊長首席」
 平然と答えた青年の左手にはいつの間にか抜き身の剣があり、その切っ先は自らに刃を突きつける男の脇腹へ向けられていた。
 一瞬後、互いに武器を収めると、ユーリは後ろを振り向いて主を室内へ招き入れる。
 途端、跪く二人の男。
「エステリーゼ殿下、ご無事なお姿を排する機会を得られましたこと、心よりお慶び申し上げます」
「有難う。今はどちらで呼びます?」
「シュヴァーン、とお呼び下さい、殿下」
「ではシュヴァーン隊長、わたしも貴方に会えて嬉しいです。久し振りですし」
「は。ヨーデル様の命で世界情勢の調査に出ておりました。よもや帝国の外でお目通りが叶うことになるとは、思ってもおりませんでしたが……」
「わたしもです」

冒頭のアドリビトムに潜入するまでを妄想と捏造たっぷりで。以下はお手にとってご覧くださいませ。