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21.YES

【騎士姫パラレル/掌編】

「ユーリ、ごめんなさい」
「何が、ですか」
「わたし達の……皇族の問題のせいで貴方まで巻き込んでしまいました」
 心から申し訳無さそうに、俯きがちに青年の疑問に答えた少女。その出で立ちは城の中とは違い、動き易そうな服装――勿論良家の子女であることが分かる良い品――である。
「両殿下からお話を聞いた後からエステリーゼ様は何度も私にそうお尋ねになりますが、私の答えは変わりません。殿下の在る所に必ず居ります」
「……そうですね、ユーリはいつもそう答えてくれました」
「そもそも、そのようにお尋ねになる必要など御座いません。私は、殿下に剣を捧げた日からそれを当然のことと思っておりますから」
 右手を胸に当てて微笑しながら言った己の騎士の姿に、彼女は淡く頬を染めた。
「ユーリは、意地悪です」
「まだ、殿下からは『お許し』を頂いておりませんので」
「では許します。それにしばらくは身分を隠さねばならないのですから」
 権力に執着する貴族や評議員達。それらの起こしたごたごたを片付けるまで、帝都を出ていて欲しい、というのは未だ正式には決定していないものの、少女と彼の少年の間では決着がついている次期皇帝位継承者のヨーデルの言だ。
「では、キリが良いので明日からにしましょう。明日からしばらく人目のある場所では、私は貴女の護衛、貴女は貴族の子女」
「はい。好奇心旺盛なわたしが無理を言って家を出て、その先で知り合ったユーリに護衛を頼むんです。ユーリはほっとけなくなって着いて来てくれて」
 人に聞かれた時にどう答えるか、その「設定」を決めたのは物語が好きな少女である。本人の性格を生かしたその「設定」に、共に今後のことについて話していたヨーデルやフレン、そして当事者の一人であるユーリが苦笑したのは言うまでもないだろうか。
「ヨーデルとフレンですから、あまり長くはならないと思いますけれど……。その間、宜しくお願いします。無事に二人で、また帝都に戻って来ましょう、ユーリ」
 その言葉に、青年は少女の足元に跪いた。二人を守るように着いて来ていた青い毛並みの犬――専門に訓練された軍用犬である――もそれに合わせるようにお座りの体勢となる。
「Yes,Your Highness」
 普段とは違う出で立ちではあるものの、変わらない仕草と揺ぎ無い声。少女は微かに感じていた不安が溶けていくのを感じながら、自らの騎士に微笑みを向けた。

*捏造騎士×姫で「10.生まれる前」より前くらい。この旅でリタと知り合うんだ、きっと。で、後でこれは公式で「視察」ってことに。