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26.尻尾

【ED後/相棒視点で微ユリエス/掌編】

 ある日の午後、彼はのんびりと昼寝を楽しんでいた。同居人は朝から手伝いに駆り出され、昼食の時に一度戻ってきたかと思えばまた別の用事で出かけて行った。
 騒がしいというか、慌しいことだと思う。
 開け放たれた窓から入るそよ風に白いカーテンが揺れている。いつぞやか、度々この部屋を訪ねてくる少女がつけましょうと言ってつけたそれだったか。薄目で眺め、のどかな気分のままに欠伸をする。
 くぁ、と息を零せば襲い来る眠気。伏せた目に、差し込む光が少しまぶしいが、それでも眠気の方が勝ったらしい。後は欲求のままに眠りの淵に落ちた。


 意識が浮上したのは近づいてくる気配に気付き、かつそれが憶えのあったそれだったからだ。
 眠りに落ちてからそれほど時は経っていないのだろう、差し込む光はまだ明るいままで、揺れる白いカーテンの向こうの開け放たれた窓からは青空が見えている。
 短いノックの後にノブを回す音。キィ、ときしむ音を立てながらゆっくりと開かれた扉から、予想した通りの顔が覗いた。
「こんにちは、ユーリ……、って……留守、です?」
 あからさまにがっかりと肩を落とした来訪者に、眠りを妨げられた形となった彼は小さく鼻を鳴らす。
「ワフ」
「あ、ラピード。こんにちは」
 にこりと笑って丁寧に頭を下げた彼女は、決して広くは無い部屋をきょろきょろと見回し、残念そうに吐息を漏らした。
「たまたま時間が空いたので来てみたんですけれど、ユーリはお手伝いでしょうか……?」
「ワン」
「そう、ですか。ラピードはお留守番です?」
 彼の定位置とも言える場所で伏せているその姿を見て問い掛けた彼女に、同意するように尻尾を揺らしたラピード。己は眠いのだと目を伏せて見せれば、彼女は彼の昼寝を邪魔したことを悟ったらしい、くすりと一つ笑って謝罪すると、町を探してみますねと続ける。
「また来ますね、ラピード」
 目は開けないまま、それでも答えるように尻尾を揺らした彼に、少女は微笑みながら部屋の扉をゆっくりと閉じるのだった。

*まさかの相棒視点。最近空気になりつつあるので主役で。