【ED後/「waltz.」設定・未来/ユリエス掌編】
「あ、ユーリ見てください。フレンから手紙です」
「フレンから? 珍しい……、って言うか分厚くない、これ?」
エステルから受け取った手紙は比喩では無くずっしりとした重みを感じるもので、それに比例して厚みもある。ユーリは一体何事だと片眉を上げつつも、封を開いた。
便箋を取り出すと予想以上の枚数だったが、取りあえず一枚目に目を通し始める青年。
「……ああ、そういうこと」
「どういうことです? 何か大変なことがあったんでしょうか……」
眉尻を下げ、不安をありありと滲ませる彼女に、ユーリは違うと笑いながら一枚目の便箋を手渡した。
それを受け取って青年と同じように目を通したエステルは、彼の言った意味が分かって不安を払拭した顔で見上げて言う。
「下町の皆からのお手紙なんですね」
「そうみたいだな。ギルドと帝国の協力で昔より郵便制度も整備されたし、手間賃も大分安くなったとは言え、下町の奴らがそう頻繁に利用出来るほどじゃないし」
「それでフレンが皆さんのお手紙を代表して送ってくれた、ということです?」
「そう。ちょくちょく立ち寄ったりしてたとは言え、オレにしてみりゃ新天地での生活だし、気ままな一人暮らしとは違うし、帝都方面の仕事も無かったからしばらく立ち寄ってないし」
どうやら二枚目はハンクスからのものだったらしい。そこに書かれた小言雑じりの文を読んだユーリは、要約するとこうだ、と言った。
「嫁さん見せに来い、だと」
「え、ええと、わたしです?」
「オレはあんた以外の嫁さんを持った憶えは無いけど?」
「分かってますけど、やっぱり下町の皆さんに式の前にご挨拶しなかったからでしょうか……」
「別に怒ってるわけじゃねぇって。ほら、カロル先生が写真撮っただろ、式の」
ユーリの問い掛けに、エステルは頷く。
「はい。この間、届けてくれたものです?」
「そう、それ。で、天然陛下とフレンにも届けに行った。そのフレンが休暇で下町行った時にその写真をハンクス爺さんに見せた、必然的に他の奴らも見た、だからちゃんと見せに来いってこと」
二枚目を彼女に渡し、三枚目を見るとやっぱりだと青年は肩を竦めた。
「この分だと他のもそうだな。……なんだ、下町の奴ら以外のも混じって……、アグエロン?」
「確か……、ユーリが騎士団に所属していた頃の同期の?」
「ああ。あいつフレン隊に所属してるし。……ってアシェットの奴もか!」
フレンの奴、わざわざ声掛けて集めてるんじゃないだろうな。ぼやくように呟きつつも、便箋に書かれた文字をしっかり目で追っているユーリに、エステルはくすりと笑った。
「いいじゃないですか。一概に言えないですけど、これだけ沢山の絆がユーリに繋がっているんですよ」
「キズナ……、絆、か」
「今度カロル達が来たら、帝都に行きましょうね、ユーリ」
「ああ。……見せろってんだから、大いに見せびらかして良いってことだし」
に、と笑ったユーリの言葉に、エステルはほんのり頬を染めて小さく彼を窘めるのだった。
*「35.欠片」の前のような、新婚ユリエス。


