【本編中/第三部終盤辺り/パーティでおっさんいじり/掌編】
「うわぁ、すごいね……! さすがユーリとジュディス!」
「すごいごちそうです。二人とも、お疲れ様です」
瞳を輝かせて歓声を上げたカロルと、少年に同意するように頷いて料理人の二人を労うエステル。
「誰かさんがメイド服が欲しいとか言ってガチャガチャやりまくったから野菜多目だけどな」
「あら、健康に良いし丁度良いんじゃないかしら。ね、おじさま」
にっこりと微笑と共に言われ、そこがあんたの席よとリタに示されたテーブルに用意されたそれを見て、レイヴンもさすがに口元を引き攣らせた。
「だ、だからおっさんの所だけ野菜炒めが山盛り……。しかもタマネギとニンジンとシイタケのオンリー!?」
白い皿の部分がほとんど見えないくらいに山盛りとなっている野菜炒めは、確かに白と赤と茶ばかりだった。ちなみに他の者達に用意された皿は普通の量で、使われている材料はキュウリとニンジンとタマネギにポークという普通の野菜炒めである。
「おっさんのはオレとジュディの特製」
「うふふ、特に愛情込めて作ったのよ」
「ジュディスちゃんの愛情たっぷり特別製……! おっさん喜んで食べちゃう!」
途端に目を輝かせる態度に、隣の席に着いたリタ等は半眼でこれだからおっさんはと零した。
「あら、嬉しい。おじさまが取ったお野菜が沢山あったから、駄目にしちゃう前にと思って沢山作ったの。おかわりもあるのよ」
「え……」
「タマネギはハンバーグとコロッケで大分消費したし、シイタケは干しとけばかなり持つし、問題はニンジンか。献立考えるにしても、当分はおっさんに人よりも食べてもらわねぇとな」
じゃ、揃った所でといただきますと手を合わせてフォークを手にするユーリ。エステルやカロル、リタ、ジュディスもそれに続き、大皿の上にあるハンバーグやコロッケを思い思いに用意された小皿に取って行く。
「……おっさん、野菜だけで満腹になりそう」
「大丈夫、コロッケとかハンバーグとか他のはボク達で責任持って美味しく食べるよ、レイヴン」
「そうそう、ガキんちょの言う通り、あんたはあんたで責任取るのね」
「え、えぇと、その、頑張ってくださいね、レイヴン」
言外に手伝わないからテメェで何とかしろ、という責めにも似た応援を送った三名の少年少女達。二名の料理人は既に我関せずと食を進めている。最後の頼みとばかりに視線を部屋の片隅に居るラピードへ向けてみれば、骨付き肉を目の前にした彼は男を鼻で笑った。
男はがっくりと肩を落とし、これは新手の拷問かと思いつつも山盛りの野菜炒めを攻略すべく、のろのろとフォークを手にするのだった。
*本来の野菜炒めは、肉系・ニンジン・タマネギ・キュウリ、が材料です。おっさんスペシャルはナム孤島の一番お高いガチャガチャで何でこんなに出るの、とばかりに当たる野菜オンリーで。


