美容歯科 税理士 求人 day

記事一覧

23.アイスクリーム

【現代パラレル「毎日がSpecialday」設定/ユーリ22歳・エステル19歳&カロル・リタ/掌編】


「バニラかチョコか、それとも他にするか……」
 紅茶の用意をしながら呟いた店主に、カウンター席に座っていた三人が不思議そうな顔になった。
「ユーリ、新作のお菓子の話です?」
「え? あ、オレ口に出してた?」
「バニラかチョコか他にするか、って言ってたけど」
 エステル、リタの証言にカロルが続ける。
「今考えてるってことは、夏の、だよね?」
「そう。プチケーキに添えるアイスクリームをどうするかと思ってな。見通しつかないからあんま種類用意出来ないし」
 悩んでいる間にも用意は続けられていて、どうぞ、と見事なゴールデンルールで淹れられた紅茶が三人の前にそれぞれ置かれた。
「定番はやはりバニラです? でも涼しげなチョコミントも捨てがたいです」
「チョコミントならそれ一つで主役になってケーキの印象が薄れると思うけど。なら少し淡白な味のケーキに、チョコの方が合うんじゃない」
 女性二人はそれぞれの好みを交えた意見を挙げ、それもまあ有りかもしれないと青年は頷く。息を吹き掛けて紅茶を冷ましていたカロルは、どうせなら、と独り言のように呟く。
「ケーキもアイスも自分で味付けられれば良いのにね」
「……自分で、か」
「味の好みって人によって違うし。でもユーリの言うことも分かるんだ。お店なんだから、利益を出さなきゃいけないんでしょ? 種類置けないなら、そう出来れば解決出来そうだなー、って」
「確かにそうだな。……ケーキは生クリームをサンドしたプレーンなのにして、アイスクリームは甘さを少し抑えたバニラにして、注文の時にソースとかトッピングを選んでもらえば……。チョコもキャラメルも他ので代用出来るし、フルーツソースも他で使えるし、トッピングもアーモンドやらフルーツはケーキ用のを使える。――いけるな」
 すっかり頭の中でイメージが出来たのか、満足げに頷いた青年に、カロルはぎょっとしたように目を見張った。
「え、ええと、ユーリ?」
「助かったぜ。さすがカロル先生」
 に、と笑みを浮かべたユーリに、少年は戸惑いがちに首を振る。
「そんなことないよ。独り言みたいなものだったのに」
「でもオレは助かったし。そう言うけど、カロルの言葉がきっかけでこの道を見つけられた身としては、やっぱ感謝だな」
「そ、そうかな……」
 照れたように笑って、誤魔化すように頬をかいて紅茶に口を付けた少年を見て、エステルが微笑しながらユーリに同意した。
「わたしもカロルには感謝です」
「エステルも? ガキんちょに?」
 何故、とありありと顔に浮かべて言ったリタに、少女は頷く。
「今のユーリがあるのがカロルのお陰なら、その道を選んで歩いていたユーリに出会えたわたしは、やっぱりカロルのお陰だと思うんです」
「そういやそうだな。んじゃ礼代わりに何か持って来るか」
「え、いいよ、気にしないでも……!」
「ユーリ、あたしはいちごのムース」
「あ、わたしもリタと同じがいいです」
「カロル先生への礼なんだがな。ま、いいか」
 ちと待ってろよ、と言ってその場を離れたユーリは、少し後に三枚のプレートを器用に持って戻ってきた。少女二人の前に要望通りの品が乗せられたそれを置くと、芝居がかった口調で感謝を込めてと少年の前に置かれた白いプレート。その上には以前少年がおいしいと絶賛した数種のケーキがあり、少女達――一人は笑顔で凄いですと言い、一人はそ知らぬ顔をしながら気になる様子が隠せない様子だった――を羨ましがらせたとか。

*スイーツなら現代パラレル。何気ない風景。